あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則 [by オリ ブラフマン (著), ロム ブラフマン (著)]
あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則 Ori Brafman Rom Brafman 高橋 則明 日本放送出版協会 2008-12 posted at 2009/02/13 |
★━━━こう思ったら読め!━━━━━━━━━━━━━━━━★
『自分の意志決定は合理的か否か?』
決めたときは合理的だと思っているんですけどね
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☆気になったキーワード
『最初の印象』 『損失回避』
『評価バイアス』 『報酬の可能性』
★━━━━本の著者に聞きたいこと━━━━━━━━━━━━━★
『人間がかくも弱いのはなぜか』
自分が合理的だと思いこむことに
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☆本から得た気づき
━━━━━━あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼『いったん決めてしまった評価は覆せない-至難の業』
▼『報酬と名誉の両立はできないのか』
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▼『いったん決めてしまった評価は覆せない-至難の業』
第一印象が大事だから、見た目はしっかりしない
とはいろんな識者も書籍も言っていることで
実際その通りです。
でもその通りというのはあくまで感覚的なことで
第一印象って大事だよなーとみんな漠然と
思っているのではないでしょうか。
ところが本著では具体的な数値と統計で
その事実があきらかにされています。
いくつか挙げられている事例から私がもっとも
印象的だったことを一つ取り上げると
「NBAドラフト指名順位の呪い」
アメリカのプロバスケットボールリーグNBAのことを
知らない人は少ないと思いますが
そのNBAにおいて活躍する選手にはある傾向があるというのです。
それも【統計上の数値】として歴然と。
それは・・・ドラフトの指名順位が早い(上位である)ほど
選手は活躍するという事実。
そりゃ上位の方が「優秀」なんだから当たり前でしょ?
と思ったら、ちょっと考え直してみてください。
そう、ドラフトはあくまで「新人として素質が優秀である」と
想定された順に指名が行われるわけであって
本当にそうかどうかはわからないはずではないでしょうか。
そう、本来はそのはずなのですが・・・
でも選手を使う側のコーチの気持ちを考えてみれば・・
「ドラフトが上位の選手をつかったほうが、うまくいく可能性が
あるんじゃないのか?」
と考えるのは、勝つことが至上命題になっているコーチの思考回路
としては当然のこと。
最初は、力量の差がはっきりしているわけではない
新人選手だからこそ、上位の選手から使い始める。
試合に出れば、選手は成長しますから、より上位の選手が
使われることが増えるという循環が行われるわけです。
ということは。。。最初についた「値札」というのものを
ひっくり返すのは結構至難の業。
というのも、以前に「影響力の武器」でとりあげましたが
人は、楽をしようとして「権威」というものを重要視する
本質があります。
いったんついた「ラベル」はある意味権威となり
それを見た人の行動に大きな影響を与えるわけです。
それがラベルを全く知らない人にとっては
どんなに不合理なことであったとしても・・・・。
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▼『報酬と名誉の両立はできないのか』
こういう社会実験の結果を見るのは
とっても楽しい私なのですが、本著ではたくさんの「実験」
が行われています。
その中の一つに
報酬の可能性をちらつかされると
かえってモチベーションが下がる
というテーマがありました。
スイスでの住民に対する調査で
「放射性廃棄物施設の建設」を地元で支持するか否か
を調べる調査がありました。
純粋に「公共の福祉のため」という提案と
金銭を対価にした補償がある提案(ただし莫大ではない)
の2つの提案がなされた場合・・・
圧倒的大差で「公共の福祉」の提案の場合
の方が支持をした人が多かったのです。
あれ?「公共のため」という想いに、お金という利益も
くわわったのに、支持が下がったの?と思われますか?
合理的にのみ考えると、利得があるほうが支持が低いわけですが
これは人間の脳の動きを考えると説明できるのです。
人の脳には博愛中枢と快楽中枢という2つの組織がある
というのです。
それぞれ、自己犠牲で公共のためという想いの時
自らへのインセンティブに反応すると考えてください。
その2つの中枢は・・・
【同時に動かされることはない】
というのが非常に大きなポイント。
つまり、金銭で動かそうとすると、人の「博愛中枢」は
全く反応しなくなるのです。
その上、快楽中枢という、個々人のインセンティブを動かそうと
すると・・・動かすのに必要なエネルギーは
他方に比べて非常に大きなものになることがほとんど。
考えてみれば思い当たることはたくさんありますね。
「ボランティアで○○のために、××をしてください」
とお願いされると、まあやってみようかと思う行動であっても
「ほんと少ないのですがこの金額で動いてください」
といわれると、「そんな少ない金額では」と考えてしまうこと
ないですか?
「利得」というコトだけ考えると、非合理なことであっても
人はどのようなことに反応するのか?
ということはきちんと知っておかないといけない
重要な事例の一つだと思っています。
★━━━この本を読んで自分が決意したこと━━━━━━━━━★
『不合理だからこそ人間である』
だから、いつも「不確定要素がある」
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
本著と同じタイミングで、この2冊も読んでみました。
○人は意外に合理的
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○予想どおりに不合理
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「行動経済学」という分野になると思うのですが
3冊まとめて読むのをお奨めできるなーと想いながら
読んでいました。
あれ?タイトルからして、おかしくねーか?
と思われますか。
合理的か不合理かを判断するときの基準を
なににおくか?でタイトルが変わっていると私は判断しています。
それが、人間が頭で判断するインセンティブなのか
考えあげた「理論」を元にするのか。
すべてが数字で説明できないからこそ
人っておもしろいんだなーとあらためてたくさんの事例をみながら
思っていました。
あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則
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